2025年1月27日月曜日

グラスハープと私-4:木製5号機の製作

図19、2009年7月、日食観測クルーズ船「ぱしふぃっくびいなす号」にて:
日食観測後の余興大会で、クルーズ参加者にグラスハープ演奏を披露した。


9、4号機の問題点
 2001年秋半ばに完成したグラスハープ4号機を実際の使用すると当然ながらいろいろと改良点が見えてくる。
 先ず配列に関してだが、きっちり4行で演奏を行うと、ドレミのスケールが同一の行の音、例えばC、E、G♯音から始まる場合は同じパターンだが、行を変えて半音、1音、1音半と上げて行くと、一見全く違うパターンに変わり、演奏に混乱を引き起こしてしまうことである(図20)。これを解消するためには行を加えて5行、6行と増やす方法が考えられるが、グラス数が増え、盤面が大きくなって演奏上や運搬上に支障を来たすことになって逆効果になりかねない。
 次に固定方法について、4号機ではグラスのリムを同一平面に揃える方法として、木製パイプを切って長さを調節していたが、コルクの硬さやグラスのステムの形状が微妙に異なるので高さの調整が難しく、演奏を行うリムを同一平面に揃えるのが一苦労であった。
図20、グラスハープ4号機の配列の問題点
 スケールパターンに於いて、長3度の移調は水平方向への移動になるので問題は起こらない。しかし、短2度上行、長2度上行、短3度上行(短2度下降と同一パターン)の移調はパターンが大幅に変化し、慣れるまでに時間を要する。当然ながら和音の演奏、重奏の演奏も複雑になる。

10、木製5号機の製作
 5号機の製作について、まず配列については1列増やすことによって問題が結構解消される目処がついたので、5行6列+3個構成、下のGから上のAまでの32個構成(内、下からD♯、G、B、上のD♯、Gの5音が5行目として重複させる)とした。
 木製パイプの固定方法については、少し長めに切ったパイプを同径の穴をベースに開けて差し込み、パイプとベースの隙間3カ所余りに木ねじをねじ込んで固定する方法を試行することにした(図21)。この方法は、甚だ美的なものでなく、いかにも間に合わせ感が強いのが欠点だったが、とりあえず演奏上の問題は解消された。なお、ベースはパイプを差し込むスペースが必要になるので2cmほどの空間を設け、ボックスにして下部を塞いだ。ボックス型ベースにした分、板材の分の重量が増えたのがマイナス要因であった(図22)。ボックスが共鳴箱の役割を果たしたかどうかは、可能性は否定できないが、実際の演奏してみて顕著な効果があるようには思えなかったので、確認しなかった。
 こうして完成したのが5号機である。従来用いていた木製4脚は出来が良かったのでそのまま使用し、5号機本体は従来通り固定せず、載せるだけで演奏に使用した。なお5号機は、2009年7月に小笠原で見られた皆既日食観測の際に乗船したクルーズ船「ぱしふぃっくびいなす号」の船上において、観測後行われた余興大会(図19)で、また11月に川口市立児童文化センターで行った科学教室などの演奏でも使用した(図23)。

図21、ベースの裏側から見た木星パイプの固定部:
間に合わせの手作り感満載で美しくない。

図22、4号機を改良した5号機:
5号機完成は2009年頃で、1年半ほどでアクリル製6号機に移行した。写真は、6号機へ移行後の撮影である。

図23、2009年11月、川口市立科学館で行った科学教室「サイエンスコンサート ーグラスの奏でる音のふしぎー」にて:
5号機を使用してグラスハープ演奏を行った。

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