1.手洗い
1)手洗い:グラスハープを演奏する際に、まず行わなければならないのは、手洗いである。手、指の汚れ、特に皮脂、角質を十分落とす必要がある。一般的には石鹸を使用し汚れを丹念に落とす。指だけでなく、手のひらの表・裏は必須である。
ポーランドのグラスハープ演奏家グラス・デュオ(Glass Duo)は、手だけでなく肘の近くまで丹念に洗い上げる。演奏中に不用意に触れることによって手に皮脂が移ることを防ぐためだろう。私は腕までは洗わないが、デュオの場合は、音の出が絶対不十分にならないようにするためのプロの心掛けと言うべきだろう。
2)洗剤他:私は、洗剤は研磨剤入りのクレンザーを使用している。グラスに触れる指、手のひらの人差し指の付け根は丹念に洗い、さらに仕上げとして軽石で擦っと仕上げている。こうすると、指を擦り合わせた際に「キュッキュッ」ときしむような感覚が出て来て、これを十分な準備が整った状態の目安としている。
クレンザーや軽石の使用が全ての人に適している訳ではない。過酷とも言える水使いによって手荒れだけでなく、ヒビ、アカギレを引き起こす可能性が大きく、演奏の後の手洗いと保湿クリームの塗布などのケアが必要である。
クレンザーや軽石の使用が全ての人に適している訳ではない。過酷とも言える水使いによって手荒れだけでなく、ヒビ、アカギレを引き起こす可能性が大きく、演奏の後の手洗いと保湿クリームの塗布などのケアが必要である。
いずれにしても、演奏者がいろいろ試行して、自分に最適な方法を見つけ出す必要がある。
2.調律
1)水調律:グラスハープの個々のグラスは、既製のデュオ・モデルのグラスハープのように、各グラスが完全に調律されている場合をを除いて、全てのグラスを調律する必要がある。調律は水調律と呼ばれるもので、水の水位を加減して調律を行う。
2)チューナー:調律には、調律用音叉(A/440Hz)を用いで、その音からもっとも決めやすい5度音程で、各音程を決めて行くる方法もあるかと思われるが(この法方では、純正調音階は調律し易いが、平均律に調律するのは難しい)、専門的知識と技術が必要なので市販のチューナーのような電子機器を利用する必要がある。半音階(クロマチック)仕様のものならギターチューナでも何でも良く、ネットで3000円程度、高くても数千円で手に入る。実はスマホでも、チューナーのアプリをダウンロードしインストールすれば十分使用でき、しかも無料だ。私は、演奏会でチューナーを忘れて取りに帰る時間が無く大いに焦ったが、アプリを急遽インストールして事なきを得た経験がある。
3)その他調律用具:その他、水調律に必要な道具として、水を大まかに入れるための水差しの類い(やかんなど)、微調整のためのビニール製のスポイト(容量50ml程度)が使いやすい。
3)その他調律用具:その他、水調律に必要な道具として、水を大まかに入れるための水差しの類い(やかんなど)、微調整のためのビニール製のスポイト(容量50ml程度)が使いやすい。
3.演奏
1)指による音出し:演奏に用いるのは基本的手の指、指紋のある指先で、右手、左手ともに用いる。主に人差し指を使うが、細かいフレーズを演奏する場合、さらに和音を演奏する場合は中指も親指も使う。指以外では、手のひらの人差し指の付け根の部分、同じく親指の付け根の部分も使うことができ、指よりむしろ音量の大きな力強い音が得られる。
音を出すためには、指をグラスのリム(縁)に軽く触れ、適当な早さで縁に沿って外さないように擦る。擦る際にリムと指の接触部分の軋むような感覚が生じ、それが連続的に継続すると音が出ている。グラス・デュオも、クリスタル・トリオ・アンサンブルのスカヤロフ氏も、「軽く、ソフトに」と言っているが、指で擦る際の早さや圧力の感覚を体得する必要がある。基本動作として最も重要なのは、指をグラスのリムの円形に沿って丸く描くようになぞることである。慣れなかったり舞台で緊張すると手が震えて丸く描ことが出来ないと滑らかな音が出なくなってしまうので、普段からよく練習して慣れておく必要がある。
2)長時間の演奏対策:実は、何曲も継続して演奏してい際に、指を良好な状態で維持することは難しい。2~3曲なら全く問題はないが、何曲も演奏を続ける内に指の状態は少しづつ変化して行き、その内と音が出にくくなってくる。ホフマンも「1時間以上も演奏すると指がふやけて演奏が出来なくなってしまう」と言っている。指はふやけるだけでなく、少しづつ滲み出る皮脂と削り落ちた皮膚の角質部によって指やグラスの縁が汚れる。私は、それによって指が滑り、指の引っかかりを阻害しているのではと考えている。
3)酸性手水の使用:手の状態を回復させる方法として、私は弱酸性の手水を用意している。
あるとき、地方の博物館での学習室で20分ほどで時間があったので、目の前の書棚にあった百科事典を取り、何気無くグラスハープの項を引いてみたところ「手に弱酸性の水を着けて演奏する」と記されていた。これが弱酸性手水に行き着いた経緯である。
当初レモン果汁を用いたが、生果汁は常温、時に夏場は腐敗が早く長持ちしないので、クエン酸に切り替えて使用している。酸は油汚れを洗い落す効果があり、クエン酸入りの食器用洗剤では食器を洗うと「キュッキュッ」と音がすることが謳われているが、まさにその効果と思われる。濃度は濃すぎると逆効果になるため、私は100CCの水に0.5g(0.5%水溶液)程度で使用している(口に含んで少し強めの酢を感じる程度、クエン酸は料理やジャムの調理に使うので基本的に身体に害は無い)。
クエン酸水の使用すると指が滑りやすくなる感触があり、また音の強さが少し失われる傾向がある。また、早く指がふやける傾向もあるように思われるので、試行を十分重ねてや採用するか否かを決める必要がある。演奏中に指の状況が変化し、音が出なくなってきたときの切り札程度にしたい。
4)指水の補給・指の乾燥に注意!:演奏を行っていると必ず指が乾いて音が出なくなってしまうので、度々に指に水を補給しなければならない。指の運びや、細かいフレーズが連続する場合には、補給のタイミングを失して、音が途切れてしまった苦い経験も1度や2度ではない。特に、冬期の暖房の効いた室内は湿度が極端に下がり、あっという間に指が乾いてしまうので注意が必要である。
(解説:グラスハープの演奏2へ続く)
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